労働時間の計算方法とは|考え方やエクセルを用いた算出方法も解説

労働時間の計算方法とは|考え方やエクセルを用いた算出方法も解説

社員の働き方が多様化したことで、今までよりも労働時間の管理が複雑になりつつある企業もあるのではないでしょうか。労働時間の計算方法を理解し、各社員の労働時間を適切に管理したいと考えているかもしれません。

本記事では、労働時間の計算時の考え方、ツールを用いた計算方法などを紹介します。労働時間を正しく計算する際に、本記事をお役立てください。

目次
  1. 1. 労働時間とは|勤務時間との違い
    1. 1-1. 労働時間の上限
  2. 2. 労働時間を計算する際の考え方
    1. 2-1. 労働時間の端数切り捨てはできない
    2. 2-2. 遅刻・早退は労働時間から差し引く
    3. 2-3. 残業時間は2種類ある
    4. 2-4. 残業代の算出には月平均所定労働時間数が必要になる
  3. 3. 労働時間の計算方法
    1. 3-1. 所定労働時間7時間で10:00〜20:00に勤務した場合
    2. 3-2. 所定労働時間7時間で9:00〜18:00に勤務した場合
    3. 3-3. 所定労働時間8時間で9:00~20:00に勤務した場合
  4. 4. 勤務形態ごとの労働時間の計算方法
    1. 4-1. 変形労働時間制
    2. 4-2. フレックスタイム制
    3. 4-3. みなし労働時間制
  5. 5. ツールを用いた労働時間の計算方法
    1. 5-1. 電卓
    2. 5-2. Excel
  6. 6. 【まとめ】労働時間の計算方法を紹介しました

労働時間とは|勤務時間との違い

勤務時間とは、始業から終業までの時間のことです。一方の労働時間は、勤務時間から休憩時間を引いた時間(実労働時間)のことを指します。休憩時間は指揮命令下にないため労働時間に含まれません。

例えば9:00〜18:00勤務で休憩を1時間とった場合、勤務時間は9時間、労働時間は8時間となります。企業が社員に支払う給与計算は労働時間が対象です。

労働時間の上限

労働時間には「所定労働時間」と「法定労働時間」があります。

  • 所定労働時間:企業ごとに定められた労働時間
  • 法定労働時間:労働基準法によって決められた労働時間

法定労働時間は、1日8時間、週40時間までと定められており、企業は上限を守らなければなりません。企業が法定労働時間を超えて労働を命じる(残業させる)場合や休日労働させる場合は、36協定を締結し、労働基準監督署に届け出る必要があります。36協定の届出をせずに、社員に残業させた場合は労働基準法違反に該当します。

また法定労働時間を超過した場合は、通常時給に加えて割増賃金を支払う必要があります。

  • 時間外手当:割増率25%以上
  • 1日8時間以上の労働
  • 限度時間を超えた時間外労働
  • 時間外手当(1ヶ月60時間以上の労働):割増率50%以上
  • 深夜手当(22:00〜5:00の労働):割増率25%以上
  • 休日手当:割増率35%以上

なお法定休日に深夜労働した場合、休日労働+深夜労働に該当するため、賃金の割増率は60%以上になります。

労働基準法における割増賃金に関しては、厚生労働省の「しっかりマスター 労働基準法 割増賃金編」をご確認ください。

労働時間を計算する際の考え方

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正しく労働時間を計算できるように、どのような考え方で計算をするのかみていきましょう。

労働時間の端数切り捨てはできない

企業は原則、労働時間の端数の切り捨てはできません。そのため、企業は社員の労働時間を切り捨てず、正確に管理することが求められます。

ただし例外として、1ヶ月単位の時間外労働・休日労働・深夜労働を計算する場合は、30分未満は切り捨て、30分以上は1時間に切り上げて、端数の処理が可能です。

参考:山口労働局・労働基準監督署|労働時間の 「 切り捨 て 」 は ダ メ !~適切 な 端数処 理 をしま し ょ う ~

遅刻・早退は労働時間から差し引く

企業が支払う給与の対象になるのは、従業員が働いた時間のみです。社員が遅刻や早退をした場合は、労働時間から差し引く必要があります。

残業時間は2種類ある

残業は「法定内残業」「法定外残業」の2パターンに分けられます。

  • 法定内残業:所定労働時間は超えているが、法定労働時間を超えていない残業。割増賃金の支払い義務はない
  • 法定外残業:法定労働時間を超えた残業。割増賃金の支払い義務がある

例えば、所定労働時間が7時間の企業の場合、実労働時間が8時間であれば法定内残業は1時間です。実働労働時間が10時間であれば法定内残業が1時間、法定外残業が2時間となり、法定外残業の2時間分に対して割増賃金が発生します。

残業代の算出には月平均所定労働時間数が必要になる

月平均所定労働時間数とは、1ヶ月あたりの平均的な所定労働時間のことです。契約上の所定労働時間であり、実労働日数ではありません。月平均所定労働時間数は、残業代の計算に必要な「1時間あたりの基礎賃金」を求めるために使います。

【月平均所定労働時間数の計算式】

月平均所定労働時間数 =(365日 − 年間休日数)× 1日の所定労働時間 ÷ 12ヶ月

【1時間あたりの基礎賃金の計算式】

1時間あたりの基礎賃金 = 1ヶ月の基礎賃金給 ÷ 月平均所定労働時間数

【残業代の計算式】

残業代 = 残業時間 × 1時間あたりの基礎賃金 × 割増率

労働時間の計算方法

ここからは、実際の勤務時間を例にして、労働時間の計算方法を紹介していきます。

所定労働時間7時間で10:00〜20:00に勤務した場合

所定労働時間が7時間の企業において、10:00〜20:00の間に勤務した場合の労働時間は以下のとおりです。

  • 勤務時間:10時間(20:00 − 10:00 = 10時間)
  • 労働時間:9時間(10時間の勤務時間 − 1時間の休憩時間 = 9時間)
  • 法定内残業時間:1時間(所定賃金)
  • 法定外残業時間:1時間(割増賃金)

法定外残業時間が1時間あるので、割増賃金の支払いが発生します。

所定労働時間7時間で9:00〜18:00に勤務した場合

所定労働時間が7時間の企業において、9:00〜18:00の間に勤務した場合の労働時間は以下のとおりです。

  • 勤務時間:9時間(18:00 − 9:00 = 9時間)
  • 労働時間:8時間(9時間の勤務時間 − 1時間の休憩時間 = 8時間)
  • 法定内残業時間:1時間(所定賃金)
  • 法定外残業時間:0時間(割増賃金)

法定内残業時間が1時間のみなので、割増賃金の発生はしません。

所定労働時間8時間で9:00~20:00に勤務した場合

所定労働時間が8時間の企業において、9:00〜20:00の間に勤務した場合の労働時間は以下のとおりです。

  • 勤務時間:11時間(20:00 − 9:00 = 11時間)
  • 労働時間:10時間(11時間の勤務時間 − 1時間の休憩時間)
  • 法定内残業時間:0時間(所定賃金)
  • 法定外残業時間:2時間(割増賃金)

元々の所定労働時間が8時間と法定労働時間の上限になっているので、残業は全て法定外残業時間になります。

勤務形態ごとの労働時間の計算方法

労働時間の計算方法とは|考え方やエクセルを用いた算出方法も解説_1

ここからは、勤務形態ごとの労働時間の計算方法を紹介していきます。

変形労働時間制

変形労働時間制とは、労働時間を週・月・年単位で調整できる制度です。繁忙期の所定労働時間を長くする代わりに、閑散期の所定労働時間を短くするなど、全体の労働時間の短縮を図るものです。

1日の所定労働時間を自由に決められますが、週・月・年単位で所定労働時間を設定します。1ヶ月あたりの1週間の平均労働時間を40時間以内(特例措置対象事業場(※)は44時間以内)に設定する必要があります。

具体例として1ヶ月単位で所定労働時間を自由に設定し、実際に労働した場合の計算は以下のとおりです。

 

所定労働時間

実労働時間

時間外労働

1週目

45時間

44時間

0時間

2週目

33時間

37時間

0時間

3週目

45時間

47時間

2時間

4週目

37時間

45時間

5時間

合計

160時間

173時間

7時間

企業が設定した所定労働時間を実労働時間が超えている、かつ40時間(もしくは44時間)を超えた場合は時間外労働に該当します。上記の表では特例措置対象事業場でない場合、3週目と4週目が時間外労働に該当し、合計7時間分の割増賃金の支払いを行う必要があります。

(※)特例措置対象事業場:常時使⽤する労働者数が10人未満の商業、映画・演劇業(映画製作事業を除く)、保健衛生業、接客娯楽業

フレックスタイム制

フレックスタイム制とは、1日の労働時間を固定で決めず、1ヶ月以内の一定期間の総労働時間を定め、総労働時間の範囲で従業員自身が各労働日・労働時間を決めて働ける制度です。

変形労働時間制と同様に、1ヶ月あたりの1週間の平均労働時間が40時間(特例措置対象事業場は44時間)以内になるように定める必要があります。

フレックスタイム制では「清算期間の暦日数 ÷ 7 × 40時間(もしくは44時間)」の計算式で算出した時間が法定労働時間です。

例えば1ヶ月が30日の場合、特例措置対象事業場以外は171.4時間(30日÷7×40時間)の中で、社員が始業から終業までの時間を設定して働けます。実労働時間が法定労働時間を上回ったときは、割増賃金が発生します。

参考:東京労働局|フレックスタイム制の適正な導入のために

みなし労働時間制

みなし労働時間制は、労働者が事業場外で業務に従事し、使用者の指揮監督がおよばず、当該業務に関する労働時間の算定が困難な場合に適用される制度です。事業場外労働については「特定の時間」を労働したとみなして労働時間が計算されます。

仮に1日の労働時間が7時間と設定されている場合、実労働時間が6時間でも8時間でも、7時間分の労働時間で賃金が支給されます。

企業では「みなし残業」が採用されるケースが多くあるでしょう。その場合、一定の時間分の金額が給与として支払われるため、原則残業代は支払われません。ただし、事前に決められた労働時間を超えた場合は賃金の支払いが発生します。さらに、深夜労働や休日労働をした場合は、割増賃金を支払うことになります。

参考:東京労働局|「事業場外労働に関するみなし労働時間制」の適正な運用のために

ツールを用いた労働時間の計算方法

労働時間の計算方法とは|考え方やエクセルを用いた算出方法も解説_2

労働時間は、電卓やExcelを使うことで計算できます。最後に、ツールを用いた具体的な労働時間の計算方法をみていきましょう。

電卓

電卓で労働時間を計算する際は、計算結果の下二桁が60を超えた場合は40を引くと正しく計算できます。例えば始業が9:00で終業が18:15の場合は、1815-900=915と算出されます。915は9時間15分の勤務時間を表しており、そこから1時間の休憩時間を引くと労働時間が8時間15分となるでしょう。

始業が10:10で終業が18:05の場合は、1805-1010=795と算出されます。795から40を引くと755となり、勤務時間が7時間55分となります。休憩1時間を引くと、6時間55分と労働時間が算出可能です。

また、電卓の中には時間計算機能「時間計算(:)ボタン」が搭載されているものがあります。例えば、10:15は「10」「時間計算」「15」「時間計算」の順でボタンを押すと1分単位で時間が表示されます。

始業時間が10:15、終業時間が18:50の場合の労働時間は、電卓で「18」「時間計算」「50」「時間計算」「-」「10」「時間計算」「15」「時間計算」「=」の順で入力すると計算できます。

Excel

表計算ソフトのExcelを使用すると、計算式を設定できるため、数値を入力するだけで自動的に労働時間が計算されます。労働時間をExcelで計算する際は、縦軸に日付、横軸に以下のような勤怠項目を入力して表を作成しましょう。

  • 出勤時刻
  • 退勤時刻
  • 休憩時間
  • 労働時間
  • 残業時間

表を作成したら、セルの書式設定を時間表記に変更します。時間入力をするセルを選択し、右クリックして以下の設定をしてください。

労働時間の計算方法とは|考え方やエクセルを用いた算出方法も解説_4

各種勤怠情報の計算式は以下のとおりです。

  • 勤務時間:退勤時刻 - 出勤時刻
  • 労働時間:退勤時刻 - 出勤時刻 - 休憩時間
  • 法定内残業時間:労働時間 - 所定労働時間 - 法定外残業時間
  • 法定外残業時間:労働時間 - 法定労働時間
  • 深夜労働時間:退勤時刻 - 深夜労働開始時間
  • 合計:関数SUM「初日の労働時間セル」から「末日の労働時間セル」を選択

企業によって必要な情報を計算できるように、Excelを活用してみましょう。

【まとめ】労働時間の計算方法を紹介しました

ここまで、労働時間の計算方法を紹介しました。労働時間は社員に支払う給与の計算に必要です。あらかじめ正しい計算方法を把握しておくことで、スムーズに労働時間を計算できるようになります。労働時間を計算する際は、本記事を参考にしてみてください。