稟議とは?必要な場面や種類、メリット・デメリットについて解説
「稟議が何なのかがよくわからない」「どうやったらOKがもらえるかわからない」と稟議の意味がわからないとお悩みではありませんか?
この記事では、稟議の概要や稟議申請のポイント、稟議書の構成などについて解説します。
最後まで読めば、稟議に出したいと思っているものに関して承認を得られやすくなります。
稟議とは
稟議とは、自身の権限だけで決定できない事柄を書類に起こし、上層部への回覧とそれぞれの承認をもらう手続きのことであり、稟議書とは稟議に使う書類のことです。
稟議書には、以下の内容が記載されます。
- 提案者の氏名や所属
- 提案の内容や目的
- 必要な費用や期間
- 関係者の承認
稟議書は、組織の規定に従って作成され、承認者に提出します。承認者は、稟議書を検討し、承認するか否かを判断します。承認後は提案が実行されます。稟議は、組織の効率的な運営や透明性の確保に役立ちます。
稟議が必要な場面
稟議が必要な場面は、外部企業との契約締結や事務用品・備品の購入時などです。また、接待・社内イベントの費用の申請時や新入社員の採用などでも利用されます。
稟議は人事に関連する場面で必要な場合が多く、企業によっては高額な費用が動く場合に稟議書を義務化しています。
稟議の種類
稟議の種類について説明します。
契約稟議
契約稟議とは、他社・外部と契約を締結するときに必要な稟議です。以下の内容について上層部に目を通してもらい、承認を得ます。
- 価格
- 条件設定
- 日程
- 期限
- 担当者
購買稟議
購買稟議は、企業として備品購入する際に必要となる稟議です。以下の内容について明記します。コストについては、見積もりを複数添付すると、役員が判断しやすくなります。
- 備品を購入する理由
- 購入物の種類・必要数とその根拠
- 購入する物品の詳細
採用稟議
採用稟議は、新しい従業員を採用する時の稟議です。採用条件や採用人数の妥当性について、承認をもらいます。
採用稟議には、以下の内容が記載されます。
- 氏名
- 年齢
- 学歴
- 職歴
- 応募動機
- 適性試験の結果
- 採用する部署や役職
- 給与や待遇
採用稟議は、採用担当者が作成し、上司や人事部などの関係者に提出します。採用稟議によって、採用する人の能力や適性を客観的に評価し、採用の必要性や合理性を示すことが可能です。
接待交際稟議
接待交際稟議は、接待費を申請する際に必要となる稟議です。重要な取引先などとの会食時に発行します。
接待交際稟議には、以下のような項目を記載します。
- 件名:接待交際稟議
- 申請番号:(会社の規定に従って記入)
- 起案者名:(氏名、所属、社員番号など)
- 起案日:(日付)
- 稟議事項:(接待の目的、内容、相手先、場所、日時など)
- 金額:(接待費の内訳と合計額)
- 押印欄:(承認者の氏名と押印)
稟議のメリット・デメリット
稟議のメリット・デメリットについて解説します。
稟議のメリット
稟議のメリットについて解説します。
会議の開催負担の軽減
稟議書があると、会議の開催を必要とせず、時間や労力の面で負担軽減となります。会議が多い場合、時間や労力がかかり負担が多くなります。特に関係者が多いと、会議の日程を調整するのが大変になり、効率が悪くなるでしょう。
稟議書を使えば、紙1枚で案件の内容や承認の意向を伝えることが可能です。
確認作業の効率化
稟議書は、記載された内容が記録として残るため、後々の確認作業の効率化につなげられます。
稟議書はプロジェクトの実施に必要な情報をまとめて提出する書類です。口頭での報告では記録に残らなかったり誤解が生じやすくなります。一方、稟議書では履歴として残せるだけでなく、詳細に説明できるため、柔軟に対応可能です。
また、稟議書はプロジェクトの最終的な決定を確認する役割も果たします。そのため、管理職や経営陣は今後の計画を立てる場合も参考にできます。
稟議書によって、上層部は内容を検討しやすくなり、承認のスピードや精度が向上し、業務の短縮や効率化につなげられます。
稟議のデメリット
稟議のデメリットについて解説します。
稟議の申請から承認まで時間がかかる
稟議は申請から承認までに時間がかかります。上長が不在の場合、さらに最終承認まで時間を要します。
承認まで時間がかかる状況では、稟議が通らずにビジネスチャンスを逃すリスクが高まるでしょう。稟議書を提出する前に承認者のスケジュールを確認し、適切なタイミングでの申請が重要です。
トラブル発生時に責任の所在がわかりにくい
稟議は複数の承認者が絡むことから、トラブル発生時に責任の所在が分かりにくいといった特徴があります。
問題が起きた場合、稟議書の申請者は権限者に責任を問うことができないでしょう。トラブルを避けるためには、稟議書を提出する前に、問題発生時の対処法や相談先を上司に確認するのが重要です。
稟議申請のポイント
稟議申請のポイントについて解説します。
見積もり金額を明確にする
稟議で最もハードルになりうる金銭面の承認をクリアするため、見積もり金額を明確にするのが重要です。
稟議が通るかどうかは確実なものではなく、見積もりがないと、稟議が却下される可能性があります。承認者は会社の中で責任ある立場にあり、お金に関しては注意深いものです。そのため、以下のような稟議に対して許可を与えない可能性があります。
- プロジェクトの達成にどのくらいの期間と予算が必要なのか書かれていない
- 具体的な数字が書かれていない
稟議には必ず見積もり額を明記し、コスト以上の価値を提供できる内容だと明記する必要があります。
具体的な説明用資料を準備する
稟議の根拠や根拠の発生元を明らかにするため、具体的な説明用資料を準備しましょう。
稟議の承認を得るには、以下のような詳細な説明資料が必要です。
- どのような期間でどのくらいの収益を上げるのか
- 根拠はどこから来ているのか
- 根拠の出典は信頼できるものなのか
書類が充実していると、承認者の稟議内容に対する理解度を高められます。また申請者の取り組みから判断し、内容の実現可能性を感じてもらえ、稟議が通りやすくなります。
承認者への根回しや事前調整を行う
社内での利害調整を円滑にするため、承認者への根回しや事前調整を行います。
稟議書の内容が事前に知らされていないと、承認者は不快に感じるでしょう。特に、稟議の背景や経緯が不明確な場合、立場の高い人は承認に慎重になってしまいます。
関係者に自分のビジネスの状況や計画を事前に伝えると、承認もスムーズに得ることが可能です。
情報を常に共有する社員は、上司からも信頼されるでしょう。稟議書の承認は個人の評価にも影響しやすくなります。上司と積極的にコミュニケーションを取るようにしましょう。
稟議書の構成
稟議書の構成について解説します。
項目 |
内容 |
起案者・起案日・決裁日 |
起案者と起案日は、いつ、誰が稟議を起案したかを記載。 稟議が最終的にいつ承認されたかの決済日も記載。 |
件名 |
件名は内容が伝わるように簡潔に作成 |
稟議の概要・目的 |
稟議の概要や稟議の目的について説明 |
金額・予算 |
物品購入や外注する際は、見積書を準備するなどし、正確に金額を記載 |
稟議書の書き方のコツ
稟議書の書き方のコツについて解説します
冗長表現を避け、できるだけ簡潔にまとめる
稟議書は、冗長表現を避け、目的や理由、手段をできるだけ簡潔にまとめます。稟議書を作成する場合、以下のポイントに注意しましょう。
- 目的・理由・手段をわかりやすく記載する
- タイトル・コスト・効果・代替案など必要な項目を漏れなく入れる
- 冗長な表現を省き、簡潔に結論を伝える
- 箇条書きを活用して見やすくする
- 専門用語は避けるか、注釈をつける
上記のポイントに気を付けると、承認者がスムーズに稟議書を読むことができて、承認の流れがスピーディーになります。承認者の立場に立って、わかりやすい稟議書を作成するのが重要です。
稟議通過のメリットやリターンを明記する
稟議書では、稟議通過によってどのようなメリットやリターンを得られるかを明記します。
決裁権者が稟議を承認する基準は「会社の利益になるかどうか」です。たとえば、採用稟議に関しては、新しい社員を採用すると採用費用や教育費用といったコストがかかります。
そのため、社員数が増えるメリットを説明した上で「会社の収益にどんなプラスの効果が期待できるか」を説明するのがいいでしょう。
採用するメリットが、採用にかかるコストよりも大きいと判断されると、稟議は通りやすくなります。
また、数字を使って具体的なメリットを示すことにより、決裁権者は理解しやすくなります。
稟議と決裁、承認の違い
稟議と決裁、承認の違いについて説明します。
決裁との違い
決裁は、承認が必要な申請に対して、最終的な決定を示すものです。2つの違いは以下の通り。
項目 |
内容 |
稟議 |
|
決裁 |
|
承認との違い
稟議フローにおける承認は、決裁に至るまでに各フローの役職者が稟議の内容を認めることです。2つの違いは以下の通り。
項目 |
内容 |
稟議 |
|
承認 |
|
稟議の種類やメリット・デメリットについて説明しました
稟議について知りたい方向けに、稟議の概要や稟議申請のポイント、稟議書の構成などを解説しました。
稟議申請のポイントは、以下の通りです。
- 見積もり金額を明確にする
- 具体的な説明用資料を準備する
- 承認者への根回しや事前調整を行う
本記事で紹介した内容から、承認が得られるような稟議書を作成できるでしょう。