経費精算とは?種類や対象となる費用、流れ、重要なポイントを説明
経理に配属になり、経費精算をしなくてはいけないが「どう精算するのかがわからない」とお悩みではありませんか?
この記事では、経費精算の対象となる費用や経費精算の対象とならない費用、経費精算業務の流れなどについて解説します。
最後まで読めば、経費精算を理解し、適切に経費精算できるようになります。
経費精算とは
経費精算とは、従業員が出張費や交際費などを立て替えたお金を、会社に申請して払い戻しを受ける行為を指します。
経費には、取引が発生するたびに現金で支払うものや銀行口座から引き落とされるもの、利用した1カ月分をまとめて銀行振込で支払うものがあります。
経費をどのように分類するかで経費の適切な管理が可能です。
経費精算の種類
経費精算の種類について解説します。
小口精算
小口精算とは、小口現金を用いて行う従業員が立て替えた経費の精算を指します。小口現金とは、交通費や備品代などの経費を処理するために、本社から一定期間ごとに支給される現金のことです。
社員が立替経費の精算を求めてきた場合、レシートや領収書をもらい、小口現金から支払います。各部署や支店等は、一定期間が終わったら、本社に支払いの詳細を報告。使った金額分の現金を補充してもらいます。
交通費精算
交通費精算は、近距離の移動で使った交通費の精算を指します。
営業担当者が顧客を訪問するために、公共交通機関やタクシーを利用した場合、料金を自己負担し会社に申し出ます。
短距離移動で発生した交通費の精算が、一般的な交通費精算です。
返金の方法は、現金で直接受け取る場合や、給料と一緒に振込をされる場合など、様々な方法があります。
旅費精算
旅費精算は、社員が立て替えた旅費の精算を指します。旅費に該当する勘定科目は、以下の通りです。
- 出張時の宿泊費
- 交通費
- 出張手当
一泊以上の出張の場合、交通費だけでなく、ホテル代も旅費精算費として申請できます。 ただし、遠隔地への交通費は、目的によっては旅費交通費とは別扱いになることもあります。
企業によっては、食事代についても旅費精算として認められる場合も。
経費精算の対象となる費用
経費精算の対象となる費用について解説します。
旅費交通費
会社の業務上の命令で、出張のための交通費を意味する旅費交通費は、経費精算の対象となります。
出張旅費には、出張先での移動にかかる交通費も加算されます。この場合の式は以下の通りです。
旅費交通費=旅費+出張先での交通費 |
旅費の範囲や支給方法は、会社ごとに旅費規程で定められています。一般的には、旅費規程による費用はすべて旅費です。
消耗品費
オフィスで使う備品のうち、少額のものを計上する際に使う消耗品費は、経費精算の対象です。コピー用紙や文具など消費の頻度が高いものは、消耗品に当たります。
国税庁の定義は以下の通りです。
項目 |
内容 |
消耗品の購入費 |
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什器備品の購入費 |
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消耗品であっても決算時に未使用のものは、貯蔵品になりますが、次の決算時は消耗品費として計上します。
支払手数料
事業の運営で発生する金融機関の振込手数料や報酬などの支払手数料は、経費精算の対象となります。
支払手数料は以下の通りです。
- 銀行の振込手数料
- 不動産の売買に関する仲介手数料
- 専門家に対する報酬や相談料
- 法人カードの年会費
支払手数料は一般管理費のため、消費税の課税対象です。ただし、海外企業との取引では課税対象外になる場合があります。
交際費
法人が得意先や仕入先、その他事業に関係のある者などに対する以下の支出は、交際費です。
- 接待
- 供応
- 慰安
- 贈答
ただし、以下の費用は交際費として計上できません。
- 運動会
- 演芸会
- 旅行
- 飲食等に関する費用(5,000円以下/人)
研修費
従業員の研修に関連する研修費は、経費精算の対象となります。
研修費は以下の通りです。
- 仕事で必要な資格や免許を取るための費用
- 研修会やセミナーに参加するための費用
研修費は経費として計上できるため、給与として処理する必要はないでしょう。ただし、研修が業務と直接関係がない場合や、通常必要とされる範囲を超える場合、経費計上が認められない可能性があります。
新聞図書費
業務上必要な情報を入手するために購入している新聞、雑誌、書籍などの新聞図書費は、経費精算の対象となります。
新聞図書費は以下の通りです。
- 新聞購読料
- 書籍購入代
- 情報誌購入代
- 統計資料購入代
- 有料サイト購読料
- 雑誌購入代
通信費
業務で使用する通信手段にかかる通信費は、経費精算の対象となります。
通信費は以下の通りです。
- 電話代
- 郵便代
- インターネット関連費用
- テレビ関連費用
- 有料サイト購読料
- 有線放送の費用
経費精算の対象とならない費用
経費精算の対象とならない費用について解説します。
事業と無関係な費用
業務に関係なく購入した商品や旅費などは、経費になりません。
以下の費用は対象外です。
- 日用品
- 趣味の道具
- 友達との飲み会に関する費用
納税義務が課される法人税や事業税
租税公課の中でも、納税義務が課される法人税や事業税は、経費精算の対象になりません。
以下の費用は対象外です。
- 会社:法人税・法人住民税
- 個人事業主:所得税・住民税
経費精算業務の流れ
経費精算業務の流れについて解説します。
従業員が経費を立て替えをする
このフローでは、従業員が旅費や消耗品費の立て替え払いをします。
立て替えの例は以下の通りです。
- 営業で外出し取引先とカフェに入った場合の費用
- 出張に行った場合の交通費や宿泊費用
支払先から領収書を受け取る
このフローでは、従業員が支払先から領収書を受け取ります。領収書およびレシートには、以下の記載が必要です。
- 日付
- 取引相手(支払先)の名称
- 取引金額
- 購入した品物の名称
社内ルールに基づき、領収書を添付した経費精算書を提出する
このフローでは、従業員が社内ルールに基づき、領収書を添付した経費精算書を上司の承認印をもらったうえで経理部門に提出。
経理担当者が経費精算書の内容を確認し承認する
このフローでは、経理担当者が経費精算書の内容を確認した上で、問題なければ承認し精算します。小口現金で支払える経費は現金精算し、高額の経費は銀行振込で対応。交際費は、事前に上司に申請し経理から仮払いを受ける場合もあります。
書類に不備がある場合、従業員は経費精算書を修正し、再提出する必要があります。
経理担当者が仕訳処理をする
このフローでは経理担当者が経費精算書の内容に従い、会計ソフトや仕訳帳に仕訳内容を入力し、処理します。
経費精算書の書き方
経費精算書の書き方について解説します。
費用発生日を時系列で記入する
まずは経費の費用発生日を時系列で記入します。出張申請書と違う場合、理由も書きます。
費用の内容や支払先、金額などを記入する
支払先や支払い理由、支払金額などを記入します。科目ごとに金額の集計が必要です。
勘定科目ごとに経費精算書を作成する
経費精算書を勘定科目ごとに分ける必要がある場合、勘定科目ごとに経費精算書を作成します。
レシートや領収書など添付書類も準備。領収書がない交通費については、日報や記録から、費用と目的地を経費精算書に書きます。
会社の規定によっては、経費が発生する都度、経費精算書を書かなければいけないというルールがあります。
経費精算で重要なポイント
経費精算で重要なポイントについて解説します。
自己決裁を禁止する
経費精算では、経費の申請者と承認者が同一である自己決裁を禁止します。自己決裁をやると、不正な経費の発生や不適切な支出の可能性が高まるでしょう。
回避するには、システム上で、申請者と承認者が違っているのを確認する仕組みが必要です。また、裁量を持つ第三者の承認も必要でしょう。
経費の基準や上限額を設定する
経費精算では、どのようなものが経費として認められるか経費の基準を設定するとともに、1回で申請できる上限金額を設定します。
経費の基準や上限額を設定すると、経費の水増し請求を防止できます。
経費申請の提出期限を設定する
時間が経ってしまった経費の提出を防ぐため、経費申請の提出期限を設けることが重要です。
時間が経つと、お金の流れは不明確になり、領収書を紛失するリスクも高まります。そのため、経費の承認ができなくなり、申請者と経理担当者の間でトラブルが発生する可能性もあるでしょう。
精算は速やかに済ませ、翌月の入金日に入金できるよう設定するほうがいいでしょう。
領収書やレシートがない場合の対応策を設定する
架空請求を防ぐため、領収書やレシートがない場合の対応策に関する設定が重要です。
領収書やレシートがない場合は以下の通りです。
- 電車・バスの交通費
- 取引先への結婚祝や慶弔費
- 不備により領収書をなくした場合
経費精算にない項目の精算を認めない
経費精算では、「例外の禁止」が重要です。
経費精算では例外を許してしまうと、同じような精算を今後も認める必要が出てきます。もし、一度認めた精算が後で認められなくなると、従業員は不満を抱くでしょう。
社内のトラブルを防ぐためにも、例外を許さない規定を作るのが必要です。
経費精算業務を効率化する方法
経費精算業務を効率化する方法について解説します。
経費精算を円滑化するためのルールやフォーマットを作成する
申請の期限や承認フローは、業務効率化やリスクマネジメントのために、全社でルール化するのが重要です。全社でルール化するメリットは以下の通りです。
- 現場担当者や経理担当者の負担を軽減可能
- 申請方法の簡素化で記入箇所が少なく済む
経費精算システムを導入する
経費精算システムは、ルールの作成、社内への浸透に時間がかかることを解決するツールです。
経費精算システムを導入するメリットは以下の通りです。
- 作成の手間や人的ミスを減らせる
- 承認フローも設定できる
- 申請から支払いまでの進捗を可視化できる
- 領収書の管理が不要になる
- ペーパーレス化ができる
- リモートワークにも対応できる
ただし、システム導入時にコストが発生するといったデメリットがあります。
経費精算を現金以外で対応できるようにする
口座引き落としや口座振り込みなど、経費精算を現金以外で対応できるようにします。
現金で経費を払っていると、会社では小口現金の準備が必要です。また、現金払いは帳簿と現物の金額に関する一致についてチェックが必要になります。
口座引き落としや口座振り込みなどに変更すると、経費処理の手間を減らせ、お金の管理も容易になるでしょう。
さらに、電子マネーやQR決済などの利用もおすすめです。
法人カードを利用し経費精算自体をなくす
経費処理の効率化には、法人カードの導入が有効です。
法人カード導入のメリットは以下の通りです。
- 社員は経費を立て替え不要
- 小口現金の管理が不要
- 払い戻しの手続きが省略可能
- 指定口座から引き落としが自動
おすすめの経費精算システム
おすすめの経費精算システムについて紹介します。
楽楽精算
画像引用:楽楽精算
「楽楽精算」は、12,000社の企業が導入している経費精算システムです(2022年12月時点)。豊富な入力支援機能・チェック機能のほか、以前の申請書が再現可能です。
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内容 |
システム名称 |
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機能 |
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月額費用 |
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TOKIUM経費精算
画像引用:TOKIUM経費精算
「TOKIUM経費精算」は、1,200社の企業が導入している経費精算システムです(2023年2月末時点)。領収書をスマートフォンで撮影し、専用ポストに投函するだけで経費処理ができます。原本確認や保管作業が不要になり、ペーパーレス化を促進可能です。
項目 |
内容 |
システム名称 |
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機能 |
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初期費用 |
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月額費用 |
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マネーフォワード クラウド経費
画像引用:マネーフォワード クラウド経費
「マネーフォワード クラウド経費」は、以下のようなアウトソースサービスが豊富です。
- 申請内容の承認や差し戻し
- 保管
- 領収書の突き合わせ
- ファイリング
項目 |
内容 |
システム名称 |
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機能 |
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初期費用 |
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月額費用 |
年額プラン
年額プラン 5,478円/月(税込)
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ジンジャー経費
画像引用:ジンジャー経費
「ジンジャー経費」は、承認ルートが設定可能(10段階)、未対応・対応中・承認・差し戻し・否認などのステータスで確認可能です。
「ジンジャー経費」を導入するメリットは以下の通り。
- 人事労務を大幅に削減
- ペーパーレス化や多様な働き方への対応
- 無駄なコストの削減
項目 |
内容 |
システム名称 |
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機能 |
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初期費用 |
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月額費用 |
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MAJOR FLOW Z KEIHI
画像引用:MAJOR FLOW Z KEIHI
「MAJOR FLOW Z KEIHI」は、記入内容によって承認者を動的に変化させる高機能なワークフローエンジンが搭載されています。会計ソフトや銀行オンラインシステムとも連動。
「MAJOR FLOW Z KEIHI」を導入するメリットは以下の通り。
- コスト削減
- ペーパーレス化
- 時間短縮
項目 |
内容 |
システム名称 |
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機能 |
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初期費用 |
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月額費用 |
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経費精算の種類や対象となる費用について説明しました
経費精算について知りたい方向けに、経費精算の対象となる費用や経費精算の対象とならない費用、経費精算業務の流れなどを解説しました。
経費精算業務の流れは以下の通りです。
- 従業員が経費を立て替えする
- 支払先から領収書を受け取る
- 社内ルールに基づき、領収書を添付した経費精算書を提出する
- 経理担当者が経費精算書の内容を確認し承認する
- 経理担当者が仕訳処理をする
本記事で紹介した内容から、適切に経費精算をしてみましょう。