タイムカードの計算方法|計算式や注意点、残業代の算出方法も紹介
自社の勤怠管理をタイムカードで行っており、正確な労働時間を計算したい方も多いのではないでしょうか。どのような計算方法があるか把握し、何を自社に取り入れるか検討しているかもしれません。
本記事では、ツール別のタイムカードの計算方法、注意点などを紹介します。タイムカードの管理をする際に、本記事をお役立てください。
【ツール別】タイムカードの計算方法
早速、ツール別のタイムカードの計算方法を紹介していきます。
電卓
タイムカードの計算方法でスタンダードなのが、電卓を使う方法です。電卓を用意するだけで労働時間を計算できるため、あまりコストがかかりません。さらに、アナログで作業することになるので、パソコンを使い慣れていない方でも安心して利用できるでしょう。
労働時間の計算式は「退勤時間 - 出勤時間 - 休憩時間」で、計算結果の下二桁が60を超える場合は、40を引くと正しい分数を算出可能です。
例えば10:15出勤、18:10に退勤した場合、電卓に「1810 - 1015」と入力すると、計算結果が「795」になります。今回の場合は「795 - 40 = 755」となるので、労働時間は7時間55分になります。
ただし電卓を使う場合は全て手作業で計算するため、ミスが発生しやすくなります。ミスを減らすために、計算時の確認作業を徹底して行いましょう。
Excel
Excel(表計算ソフト)でも労働時間の計算が可能です。企業では表計算ソフトを使うケースが多く、使い慣れたソフトで勤怠管理ができます。
Excelは数式を設定できるため、数値を入力すると自動で計算してくれます。電卓のように1つずつ手作業で計算する必要がなく、効率的に労働時間を計算できるでしょう。さらに、Excelは他のユーザーとの共有もしやすいため、複数人での編集作業や部内での共有が可能です。
またインターネット上には、Excelの勤怠テンプレートを無料でダウンロードできるサイトが複数あるのも魅力です。例えばbizoceanやEXCEL勤怠テンプレートなどのサイトにExcelのテンプレートがあるので確認してみてください。
ただしExcelを利用する際は、数式が間違っていると計算ミスが発生します。正しい数式になっているか確認しながら、タイムカードの計算を行いましょう。
勤怠計算サイト・アプリ
無料の勤怠計算サイトやアプリを使うと、タイムカードの計算ができます。Excelのように自分で関数を設定する必要がなく、数値を入力するだけで簡単に労働時間を計算できるのが特徴です。
なお無料で利用できる勤怠計算サイト・アプリは、利用中に広告が表示されたり、機能が制限されていたりする場合がありますので注意しましょう。
勤怠管理システム
勤怠管理システムとは、従業員の勤怠状況をリアルタイムで集計・把握できるシステムのことです。勤怠管理システムは、従業員ごとの出退勤時間・休憩時間が自動で集計され、システムで労働時間を自動計算してくれます。
さらに手作業による入力ミスを軽減したり、リアルタイムで従業員の勤怠状況を把握したりできるようになります。勤怠管理システムを導入すれば、電卓やExcelよりも、タイムカード管理者の負担の軽減が可能です。
勤怠システムには、無料で利用できるものもあれば、有料のものもあります。導入する際は、どのくらいのコストがかかるか確認しましょう。
なお、おすすめの勤怠管理システムについては、以下の関連記事をご確認ください。
関連記事:【労務担当必読】勤怠管理システム比較25選|比較すべきポイントも解説【2023年10月最新版】
タイムカードで残業代を計算する方法
労働基準法(第32条)では、労働時間は1日8時間、1週40時間を上限と設定されており、これを法定労働時間と呼びます。法定労働時間を超えて社員に時間外労働をさせる場合は、労働基準法(第36条)に基づく労使協定(36協定)の締結が必要です。
36協定を締結しても無制限に残業させてもよいわけではなく、月45時間・年360時間が時間外労働の限度時間となります。臨時的な特別な事情がなければ、限度時間を超えられません。もし限度時間を超えて労働させる場合は、できる限り具体的に定め、時間外労働を限度時間に近づける必要があります。
また、残業には以下の2パターンがあります。
- 法定内残業:所定労働時間は超えているが、法定労働時間を超えていない残業で、割増賃金の支払い義務はない
- 法定外残業:法定労働時間を超えた残業で、割増賃金の支払い義務がある
残業代は「1時間あたりの基礎賃金 × 割増率 × 残業時間」の計算式で算出できます。法定外残業時の賃金の割増率は以下のとおりです。
- 時間外手当:割増率25%以上
- 1日8時間以上の労働
- 限度時間を超えた時間外労働
- 時間外手当(1ヶ月60時間以上の労働):割増率50%以上
- 深夜手当(22:00〜5:00の労働):割増率25%以上
- 休日手当:割増率35%以上
なお法定休日に深夜労働した場合、休日労働+深夜労働に該当するため、賃金の割増率は60%以上になります。
労働基準法における割増賃金に関しては、厚生労働省の「しっかりマスター 労働基準法 割増賃金編」をご確認ください。
タイムカードを計算する際の注意点
ここからは、タイムカードを計算する際の注意点をみていきましょう。
労働時間の端数切り捨てはできない
企業は原則、労働時間の端数の切り捨てはできません。そのため、企業は社員の労働時間を切り捨てず、正確に管理することが求められます。
ただし例外として、1ヶ月単位の時間外労働・休日労働・深夜労働を計算する場合は、30分未満は切り捨て、30分以上は1時間に切り上げて、端数の処理が可能です。
参考:山口労働局・労働基準監督署|労働時間の 「 切り捨 て 」 は ダ メ !~適切 な 端数処 理 をしま し ょ う ~
15分や30分単位の計算は違法になる
タイムカードを計算する際は、15分単位や30分単位での計算ができません。企業は従業員が労働した時間を正確に把握する必要があります。また、労働基準監督署の調査で指摘されたり、会社の信用問題に関わったりする可能性もあります。
1ヶ月単位の時間外労働は切り上げ・切り捨てできる
労働時間は原則1分単位で計算しますが、1ヶ月単位で時間外労働・深夜労働・休日労働を算出している場合に限り、例外があります。1時間未満の端数が、30分未満なら切り捨て、30分以上なら1時間に切り上げるといった処理が可能です。
タイムカードの原本は保管する
労働基準法の第109条(記録の保存)には「使用者は、労働者名簿、賃金台帳及び雇入れ、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類を五年間保存しなければならない」と明記されています。
タイムカードには勤怠情報があるので「労働関係に関する重要な書類」に該当します。そのため、タイムカードは5年間の保管が義務です。
複数人で確認する
手作業でタイムカードを計算する際は、気をつけていてもミスが生じる可能性があります。労働時間に誤りがあると、従業員に支払う賃金に影響してしまうので、避けなければなりません。タイムカードの計算のミスをなくすために、複数人での確認を徹底しましょう。
雇用形態別のタイムカード計算時の注意点
最後に、雇用形態別のタイムカード計算時の注意点を紹介していきます。
正社員
正社員は週5日以上勤務することが多く、日によっては残業するケースもあります。タイムカードを計算する際は、時間外労働を適切に把握して管理することが大切です。また、時短勤務やフレックス制など、各従業員の働き方ごとの勤怠管理も徹底して行いましょう。
アルバイト・パート
アルバイト・パートは、シフト制になっていることが多く、一人ひとりの勤務時間や勤務日が複雑です。シフト表を確認し、各人の勤怠状況を適切に管理しなければなりません。
また、年間所得に応じた各種控除を受けている方もいます。アルバイト・パートを雇う際は、各人との条件をすりあわせて、従業員との雇用契約内容を守る勤怠管理が必要です。
【まとめ】タイムカードの計算方法を紹介しました
ここまで、タイムカードの計算方法を紹介しました。電卓やExcelなどのツールを使うことで、タイムカードを計算できます。しかし、タイムカードを計算する際は、気をつけなければならない点が多数あります。本記事を参考に、タイムカードの適切な計算を行ってみてください。